<老人性白内障>
Q.

A.
老人性白内障とはどんな病気ですか?

人の眼はよくカメラにたとえられます。レンズが濁った古いカメラで撮った写真は、ボーっとした写真になります。レンズが不透明であるために、光がカメラ内部で拡散してしまい、フィルムに焦点が結ばれないからです。
そのカメラのレンズに相当する働きをするのが水晶体です。働きとして、レンズとして光を集める働きとピントを合わせる機能があります。この機能も年齢とともに低下し、近くの物が見えにくくなります。この状態を老視(老眼)といいます。水晶体のもう一つの大きな特徴は、透明な組織で光を透過し、眼底の網膜に光を集め、外界の物体の像を結ぶ働きです。透明なはずの水晶体が濁ってくると光が眼底(がんてい)に入る前に散乱されて、網膜に像を結ぶ働きが弱くなり、かすんで見えるようになります。この水晶体の濁った状態を白内障といいます。


水晶体が濁ってくると眼底に光が入りにくくなります。
Q.

A.
老人性白内障になると、どんな症状が現れてきますか?

@かすんで見える
水晶体の濁りが中心部に及んでくるとかすんできます。また濁りが進行すると、かすみも強くなり、しだいに物が見えなくなってきます。
Aまぶしくなる
水晶体が濁り、光がその部分で反射するために光の強い戸外や逆光ではまぶしく、見えにくくなり、中心部に濁りがある場合には、特にまぶしさが強くなります。
B暗くなると見えにくくなる
水晶体は高齢になるほど黄色に着色してきます。これに水晶体の濁りが加わると暗い所で、特に見えにくくなります。
C一時的に近くが見やすくなる
水晶体の中心にある核の濁りが強くなると、屈折力が増して、老眼が治ったような状態になり、眼鏡なしでも近くが見えるようになることがありますが、遠くは見えにくくなります。
D二重、三重に見える
水晶体の濁り方によっては、物が2つにも3つにも見えるようになることがあります。
E眼の痛みや充血はない
水晶体には神経や血管がないため、痛みや充血はありませんが、まれに、水晶体の濁りが進んで緑内障になると急に痛みや充血が起こります。


Q.

A.
老人性白内障の原因は何ですか?

水晶体が濁る原因には、糖尿病、アトピー性皮膚炎などの全身病や緑内障などの他の眼疾患、放射線、薬の副作用、遺伝などがありますが、50歳代以降の健康者にも起こります。

水晶体は蛋白質33%、水66%、ミネラル1%から構成されていますが、この透明な蛋白質は老化に加え、外界からの誘発因子(紫外線など)により、蛋白分子が大きくなり、水に溶ける性質を失って濁ってくるのです。また蛋白質の中のアミノ酸の一部は光によって分解され、水晶体が黄色に着色されてきます。水晶体の中にあるビタミンCやグルタチオンなどの物質も減少し、ミネラルでは、カリウムの減少、ナトリウム、カルシウムの増加があり、水晶体の濁りの原因となります。


Q.

A.
老人性白内障の治療にはどんな方法がありますか?

老人性白内障は、平均寿命の延長・老人人口の増加に伴い、今後ますます増えてゆく眼疾患の一つです。白内障治療薬は現在数種類ありますが、それらはすべて白内障の進行を抑える薬であって、水晶体の濁りをとる薬ではありません。いくら点眼しても白内障が治るわけではありませんが、病気の進行を遅くすることはできます。

通常は、混濁が進行して視力が低下し、日常生活に支障をきたすようになると水晶体を摘出します。水晶体を取り除いた後は、眼鏡をかけるか、コンタクトレンズを装用するか、または、眼内レンズ(人工水晶体)を挿入することにより、視力を回復することも可能です。

白内障の手術をする時期については、『その人が不便だと感じたときが手術を受ける時期』と考えて問題ありません。眼内レンズ挿入手術は、現在年間50万人もの人が手術を受けている、安全な手術です。

白内障手術にかかる費用についてはこちらを参照してください




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